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相続人が全員相続放棄をしつつ、被相続人の自宅内の動産類を処分することができた事例

事案の概要

被相続人(父)が亡くなられて、相続人(子)の方からのご依頼です。
被相続人が生前に借金をしていたことがわかりました。
他方で、被相続人が住んでいた自宅土地建物の名義が相続人の一人であったことから、今後どのような対応が必要なのかわからないということでご依頼をいただきました。

弁護士の活動内容

まず、相続人の方には相続放棄の手続きをとりました。被相続人には目ぼしい資産はなく、他方で、借金があり、他にどのような負債があるのか不透明だったからです。このような相続放棄をとることで、相続人は借金を返済する義務を回避することができます。

次の課題が、被相続人が住んでいた自宅土地建物が相続人の名義だったのですが、自宅内に多数の動産類が残されており、これをどのように処理するのかという点でした。
法律上、自宅内の動産類も相続財産ですから、これを捨てたりすると「処分」に該当して、相続放棄の効力が認められない場合があります。

被相続人の相続人全員が相続放棄をしたことから、相続人が誰もいないという状況になりました。この状況であれば、相続財産が「法人」になるという扱いができますので、この法人に対して法的な措置を講じることができます。
そこで、相続財産法人を被告として、その「特別代理人」の選任を裁判所に申し立てて、土地建物明渡請求訴訟を提起しました。

その後、当方の請求を全て認める判決が出されましたので、その判決をもとに強制執行手続きを行い、自宅土地建物の動産類を全て処分することができました。

なお、本件では、相続財産清算人の申立てを行うことはしませんでした。なぜなら、ほぼ確実に売却することができない不動産が含まれていたことから、かりに相続財産清算人の申立てをしようとしても、家庭裁判所が受け付けてくれない可能性が高かったためです。

担当弁護士の所感

最初に相談にお越しになられたときは、どのような手続きがとれるのか、またその費用がどれくらいかかるのかという点でとてもご不安に思われていましたが、適切に解決することができ、とてもよかったです。

(担当弁護士 五十嵐勇)

掲載日2023年10月12日

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