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姻族関係終了届とは? 弁護士 江幡 賢

最近、たまたま見ていたテレビ番組で、姻族関係終了届(「死後離婚」ともいわれるようです。)を提出する人が増えているということが話題にされていました。姻族関係終了届については、我々弁護士も実務で扱うことは稀ですが、この機会にご紹介させていただきます。

1 姻族関係届とは

姻族関係とは、結婚によって結ばれる配偶者の血族との姻族関係を言います。例えば、妻が夫と結婚すると、妻は夫側の親族と姻族関係が結ばれることになります。
この姻族関係は、離婚をすれば、婚姻関係の終了に伴って終了します。
しかし、夫が死亡した場合には、婚姻関係は終了しますが、夫の親族との姻族関係はそのまま継続します。
姻族関係終了届とは、その姻族関係を終了させることができる届出です。夫の死後に、様々な事情で夫側の親族との姻族関係を解消したいという方が、最近姻族関係終了届を提出するケースが増えているようです。

2 姻族関係終了届の手続

姻族関係を終了するかどうかは、本人の意思で決定できますので、妻が届け出をする場合に、夫の親族の了解等は必要ありません。
また、夫の死亡届提出後であれば、いつでも提出することができ、提出期限もありません。
提出先は、届出人の本籍地・住所地の市区町村の役場です。

3 姻族関係終了届の効果

姻族関係にあれば、原則として扶養義務を負うことになるので、妻は、夫の死後に、夫の親族の扶養義務を負うことになります。しかし、姻族関係が終了すれば、扶養義務を負わなくて済みます。
他方、死亡した夫との間に子どもがいる場合でも、姻族関係終了届の提出によって、子どもの相続に法的に影響を及ぼすことも基本的にありません。
そこで、夫の親族と折り合いが悪いので関わりたくない、夫側の親族の扶養義務を負いたくないなど、様々な事情により、夫の死後、夫側の親族と縁を切りたいという方が、姻族関係終了届を提出するケースが増えているようです。
さらに、姻族関係の終了は、自分の戸籍にしか記録されないことから、相続で問題が生じたとき等に戸籍で確認されない限り、夫の親族に気付かれる可能性も低いそうです。
もっとも、姻族関係終了届を提出されたことが夫の親族に発覚し、感情のもつれから様々なトラブルが生じたり、かえって関係性を悪化させることも多いそうなので、提出には慎重になった方がよろしいかと思います。

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