学資と特別受益の関係
質 問
兄弟の中で、1人だけ大学に進学した者がいます。その学資(入学金や授業料等)を全て両親が支出していた場合、両親の相続の際に、支出してもらった学資は全く考慮されないのでしょうか。
回 答
相続人の中で、被相続人から生前に贈与を受けていた者がいる場合、相続に際して、この相続人が他の相続人と同じ相続分を受けるとすれば、不公平になります。この不公平を調整するため、民法には「特別受益」という規定があります。特別受益の説明については、本HP中の「特別受益の問題」をご参照下さい。
では、両親が子のために支出した学資は、「特別受益」に該当するのでしょうか。
相談者
美咲総合法律税務事務所
他の兄弟からすれば、1人だけ両親に大学の学資を支出してもらったわけですから、その学資は「特別受益」に該当するという主張をしたいところではあります。
しかし、この点が争われた裁判で、裁判所は、学資は親の子に対する扶養の一内容として支出されるものであるため、特別受益には該当しないとするのが一般的であると判示しました。
ですので、親に支出してもらった学資を「特別受益」として主張するのは難しいことになります。
しかし、この点が争われた裁判で、裁判所は、学資は親の子に対する扶養の一内容として支出されるものであるため、特別受益には該当しないとするのが一般的であると判示しました。
ですので、親に支出してもらった学資を「特別受益」として主張するのは難しいことになります。
たとえば、3人兄弟のうち、一人だけ医学部に進学したとか、大学在学中に海外留学をしたとか、特別の事情があれば、特別受益になりますか?
相談者
美咲総合法律税務事務所
私立の医科大学に進学する等学資が高額であるといった場合には、特別受益とみなされる可能性がありますが、いくらなら特別受益に該当するのかという客観的な基準があるわけではありません。個別具体的な判断にならざるを得ません。