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遺産の中に市街化調整区域が含まれ、提案された評価額に納得いかない

遺産分割では、不動産の評価にあたりどのような基準を用いるのか問題となるケースがあります。

固定資産評価額

多くのケースで用いられている基準は、直近の「固定資産評価額」を用いる方法です。固定資産評価額は固定資産税の基準となるものであり、公的な基準といえます。毎年地方自治体から送付される固定資産税の納税通知書にも記載されていますし、「名寄帳」にも記載されているため、容易にその評価額を知ることができます。

もっとも、固定資産評価額は、いわゆる取引の実勢価額の70%程度とされており、適切に時価が反映されているとはいえない場合があります。また、特に地方においては、買い手がいないような地域の不動産についても固定資産税評価額がついているところがありますが、これを基準とすると、正確な相続財産の評価ができない場合もあります。

路線価

路線価は、国税庁が公表している全国の土地の価格をいいます。相続税、贈与税、固定資産税評価額の算定基準とされています。

もっとも、路線価を用いた相続税等の評価は、その土地の位置、形状などによってその計算方法が変わったりします。税理士等の専門家でなければ、適切に計算することができない場合もあります。

また、一般的に路線価は、実勢価格の80%と言われており、必ずしも不動産の時価額を示しているとは言えないというデメリットがあります。

不動産業者の評価

不動産業者に評価をしてもらう方法があります。これによって、実際に取引された場合の金額を知ることができる場合もあります。

しかし、仲介にするのか、それとも買取とするのかによってその金額は大きくことなります。

また、不動産の評価基準が必ずしも定まっているわけではないため、不動産業者によってその評価額が大きく異なる場合もございます。そのため、正確な金額算定が困難なケースもあります。

そもそも、不動産業者としても、査定だけ受け付けてくれる業者ばかりではありませんので、地域によっては、査定してくれる不動産業者を探すことが困難なこともあります。

不動産鑑定士による鑑定の実施

不動産鑑定士は、不動産の適正な評価を行うことができる国家資格保有者です。そのため、適正な評価額の鑑定が期待できます。遺産分割調停においても、不動産の評価額に関する対立が深い場合、不動産鑑定士に評価を依頼する場合もあります。

もっとも、不動産鑑定士に依頼した場合は、相応の費用が発生します。そのため、不動産の総額が相応に大きく、不動産鑑定士によらなければ解決が困難な場合を除き、その費用と遺産総額等を考慮して評価を依頼するかどうか判断しなければなりません。

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